罪と罰のバランスが崩れた日本社会と制度改革の必要性2025年07月06日 14:38

2025-7-6の中日新聞より
Ⅰ.はじめに

現代の日本社会では、法的・倫理的な責任の認識に極端な偏りが見受けられる。
市民に対する処分が過剰である一方で、政治家や有力者に対する責任追及は著しく甘く、量刑の公平性が損なわれている。

本提言書では、実例を通してこの歪みを分析し、社会構造や制度の改善に向けた方向性を示す。

Ⅱ.市民と権力者に対する量刑・処分の不均衡

(1)市民に対する過剰な処分

未成年の喫煙・飲酒によって、体操女子選手が日本代表辞退(宮田笙子氏)

レギュラーサイズ購入後、ラージサイズのコーヒーを注いだ市立中学校長が懲戒免職(定年間近)

➡ 法的には軽微ながら、社会的制裁が過剰であり、個人の再起の余地が与えられない。

(2)権力者への寛容な処遇
統一教会との癒着疑惑(裏金問題・霊感商法)に関して説明責任や政治的処分なし

議員のSNS中傷行為に対して、損害賠償命令確定も議員職辞任や謝罪なし

➡ 市民感覚との乖離が激しく、「二重基準」による信頼性の崩壊が進行している。

Ⅲ.制度的背景:放送法と選挙制度の問題点

(1)選挙制度の構造的課題

比例代表制により、個人の評価より政党の支持が優先

ネガティブ評価の高い政治家が名簿上位で当選する構造

➡ 個人の責任追及や評価の反映が困難な選挙制度が不均衡を助長

(2)放送法の不備と行政干渉の懸念

放送法第3条:「法律に定める権限」=時の政権が恣意的に解釈する余地

高市早苗総務大臣の「電波停止」発言にみる政治的圧力

番組編集の自由に対する明確な法的保障が不十分

➡ 報道の自由を守る制度的整備が急務

Ⅳ.歴史認識と国際社会への責任

南京事件や慰安婦問題など、政治的発言は国際社会へ影響を持つ

発言根拠の曖昧さが学術的独立性と国際信頼を損なう原因に

英文公式声明による発信責任の義務化が必要

国際摩擦化した場合の損害賠償責任を制度化する余地あり

➡ 発言の責任制度と学問的裏付けの義務化により、淘汰と質の向上を促す

Ⅴ.政策提言

罪の軽重に応じた量刑設計の見直し

議員倫理審査制度の強化(第三者機関の常設)

放送法改正:「編集の自由」を守る明文化と行政干渉防止条項の追加

歴史発言責任制度の創設:英文声明義務、損害賠償責任の制度化

選挙制度改革:比例代表制の見直しと個人評価の反映強化

Ⅵ.おわりに

民主主義は、誰に対しても同じルールが適用されることで成り立つ。
制度と責任の不均衡を是正し、公正な社会秩序を回復するためには、制度の再設計と倫理的自律性の強化が不可欠である。
本提言が、法制度・政治倫理・メディアの責任に関する議論の一助となることを願う。

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本日の中日新聞に、NHK党、日本保守党ともに外国人を批判したとの記事がありました。

日本の幸福度を下げる原因は、寛大さが著しく低いこと。寛大さとは対極の政策発言だと感じます。

World Happiness Report
130位:Generosity(寛大さ)--- Have you donated money to a charity in the past month?(先月、慈善団体に寄付したか?)
https://data.worldhappiness.report/country/JPN
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奈良のイメージが強いですが、平安時代初期の『日本霊異記』中巻第七話

鋤田寺の僧・智光法師が、同時代の高僧・行基菩薩に嫉妬し、悪口を言ったことで地獄に落ちる運命を辿ります。死後、閻魔王の使いに連れられて灼熱の地獄へ向かい、熱した鉄柱や銅柱を抱かされるという苛烈な責め苦を受けます。肉が焼け落ちて骨だけになった後、また元に戻されて同じ苦しみを繰り返すという、まさに仏教的な因果応報の描写です。
その後、智光は阿鼻地獄にも連れて行かれ、さらに苦しみを受けますが、最終的には行基菩薩の未来の住まいである黄金の宮殿を見せられ、「悪口の罪を償ったので帰ってよい」と告げられ、現世に戻って懺悔し、仏法を広める立派な僧となったと語られています。
この話は、嫉妬や誹謗中傷の罪がいかに重いかを強調するとともに、仏教への帰依と懺悔によって救済が可能であることを示す教訓的な内容になっています。地獄の描写は非常に生々しく、当時の人々に強いインパクトを与えたことでしょう。

仏教を信じるかどうかはありますが、道義的・倫理的に問題のある行いは死後の世界で苦しむ話により、歯止めになっていたと思われます。

【安全サイドの評価?】 トリチウム 生物内で濃縮されず2025年04月06日 19:26

いくつか気になる点があったので、Xに投稿しました。
https://x.com/HD_mount_Music/status/1908710848102883531

(1) 電力会社は、安定した供給(価格・停電・迅速な事故対応...)が使命であり、石橋を叩いて渡る保守的な文化だと思います。
リスクアセスメント、KY(危険予知)、フェールセーフ、フールプルーフなどが思いつきました。
安全よりも目先の損得を重視しているように見えてしまいます(自然・生命は複雑で飼育環境での評価は危険)。

(2) 加害企業の東電や推進者(政府や原子力の専門家主体の規制委員会)ではなく、中立・反対派がトリチウムの評価をすべきだと思う。

(3) トリチウムの生物濃縮は、悪い結果が出ないように外部からエサを与えて有機結合型トリチウムが少ない状態で意図的に評価している可能性はないか?
水俣病の原因は有機水銀です。有機物との結合の状態により、影響が異なる知見が既にあります。

(4) トリチウムの生物濃縮を記載した資料
ALPS処理水の海洋放出がもたらすもの / 北海道がんセンター 名誉院長 西尾 正道様
「トリチウムも有機結合型トリチウムは生物濃縮を起こし、また人体の全ての物質の化学構造式に水素として入るので深刻なのである。SrはCaと、CsはKと同様な体内動態であるが、有機結合型トリチウムは生物濃縮を起こし、また生体を構成している物質の化学構造式まで変える放射性物質なのであり、最も深刻な放射性物質である。」
https://www.hokeni.org/docs/2023092700014/

(5) 漁業者や中国・韓国・太平洋諸島の立場からすれば、科学的に大丈夫と高飛車な態度では反発したくなります。迷惑・心配をかけるのだから、低姿勢での対応が必要と思います。

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以前、見つけた資料

ALPSシステムによって見逃されたトリチウム以外の汚染物質が、海岸付近で時間の経過とともに蓄積される可能性はあると考えている。
「トリチウム以外の放射能が蓄積するため、日本の近海は長期的に影響を受ける可能性があります。その結果、その地域の漁業に打撃を与える可能性があります」と言う。・・・
太平洋諸島の立場からすれば、日本の太平洋への放出は、「環境的な侮辱のひとつに過ぎない」のである。
https://www.npr.org/2023/08/24/1195419846/fukushima-radioactive-water-japan

水中の放射線はほぼバックグラウンドレベルまで希釈されるが、研究者の中には、これでリスクを軽減するのに十分かどうか確信が持てない者もいる。
https://www.nature.com/articles/d41586-023-02057-y

報道の気概-中日新聞社説2025年03月21日 08:33

以前からの気になっていたのですが、リベラル寄りと言われれる中日新聞(≒東京新聞)においても、横並びから離れた強い主張は避けたい。
しかし、差しさわりの無い過去の実績を紹介して、本音を想像してほしいとのスタンスに感じます。

旧統一教会問題、自民党の裏金問題、ジャーニーズ問題、中居正広氏の問題など、表面化するまで報道を避け、相変わらず既得権益を守ることを優先しているように感じます。

太平洋戦争(中国、東南アジア諸国を含む広い範囲です)において、メディアは真実を語らず、結果的に戦争継続に加担した過去の実績から学んでほしいです。

大問題となる前に真実を報道して、被害の拡大を食い止めるのがジャーナリストの役割ではないでしょうか。

海外や社説に挙げられた人は、会社員(あるいは従属する組織の人)である前に、ジャーナリストでありたいとの信念があります。

New York Timesの記載がありますが、以下のように政権やIT巨人に媚びを売らずに自分たちのジャーナリズムの信じる道を進んでいます。

トランプ大統領から極左メディアと牽制されていますが、しっぽを振るようなことをしていません。

ニューヨーク・タイムズは、2023年12月27日にOpenAIとマイクロソフトを著作権侵害で提訴しました。訴状では、OpenAIが数百万件の記事を無許可で利用して言語モデルを開発し、ニューヨーク・タイムズの事業を損なっていると主張されています。

ゆがんだ正義と向き合う(中日新聞/社説)2025年01月06日 15:01

正月休み明けの中日新聞に感心した記事は2件ありました。

2件目は「ゆがんだ正義と向き合う」

トランプ氏の敗北した選挙で不正があったと根拠なく言い張り、憎悪を駆り立て政敵を攻撃する行為を「正義」とは呼ばない。

「勝てば官軍」
道理や手段がどうであれ勝者が「正義」になる意味
ビジネスではどんな手段を使ってでも利益を上げることが「正義」との趣旨で使われることがある。

勝てば官軍でいいのか:トランプ氏や孫正義氏に感じる違和感
松下幸之助さん、稲盛和夫さんは「私企業であっても、本質は世間のもの、公器である」という考えがあった。

日本をはじめ国際社会は、トランプ氏の「ゆがんだ正義」と向き合わねばなりません。その覚悟も問われる4年間の始まりです。

失敗とどうつきあうか?(中日新聞/考える広場)2025年01月06日 13:55

正月休み明けの中日新聞に感心した記事は2件ありました。

失敗について(1件目)

1. 間違えない恥ずかしさ/畑村洋太郎さん

日本の学校で教えるのは、どうやったら「正解」に効率よくたどり着くかということばかり。
かつて「正解」の提供元は中国であった。明治以降は西洋に変わり、戦後は米国。
初めてor未知の問題にぶつかった時に自分で考えて何かをすれば、間違えるのに決まっている。間違えて、じたばたして、いろいろなものが生じる中から、本物がちゃんと生まれてくる。
自分の責任で、ものを考える。自前で考えるとはどういうことかを、根っこから考える。
そういうことをしていないから、事故の責任を自ら取る人も出てこないのではないでしょうか。

2. 捉え方で過去は変わる/G.G.佐藤さん

北京五輪の準決勝で二つ、3位決定戦で一つのエラーをした。
3位決定戦は僕の準備不足。
二つエラーをした選手を星野仙一監督が使うわけないと決めつけていた。
帰国後は自分のことを批判しているのじゃないかと感じて、被害妄想のような精神状態だった。
転機になったのは、野村克也さんの次の一言だった。
「北京五輪で記憶に残っているのは星野とおまえだよ。記憶に残るのは素晴らしいこと。その経験を活かしなさい」

3. 「成否」こそ空虚な観念/白取春彦さん

「失敗」はどこから来るのか。それは組織に属している人の観念ですよ。
自由に生きている人には成功も失敗もありません。
ビジネス界での基準は明確で、もうかれば成功。もうからなければ失敗。
外にある価値に自分を合わせると、自由に生きられなくなり、しんどい。
自分なりの価値を見いだす・創り出す(あえて方法を言えば、哲学書・聖書*を読むこと)
*私は原始仏教を思い浮かべた