インターネットのボット対策2025年09月13日 20:24

ElmerFEMのフォーラムが多数のボットトラフィックにより、アクセスできない期間が長かったですが、対策としてCloudflareを導入したようです。 再開してからは、トラフィックが劇的に下がり効果があるようです。 WebスクレイピングやAIからの検索は多分、受け付けないと思われます。

https://www.elmerfem.org/forum/index.php


FreeCADのフォーラムにも別の対策が行われています。 https://forum.freecad.org/index.php?style=5

こちらは、オープンソースのTecharoHQ /anubisです。

https://anubis.techaro.lol/

https://github.com/TecharoHQ/anubis


ページが変わったときに、アイコン・キャラクターが表示されれば、ボットトラフィック対策の可能性が高いです。

VirtualBoxの速度低下(WSL2と共存時)が修正されました2025年08月27日 13:35

2025-Aug-26時点での最新リリース版での評価

従来は、isoファイル(そのまま使えるライブメディア、インストールメディアを兼ねたもの)が教育用メディアとして一般的でした。

最近は、CAEソフトの設定まで済ませたovaファイル(VirtualBox用)WSL2用のtar.gzファイルでの配布が増えています。

作り手、使用者共にメリットのある配布方法です。

売りは、ova (Best possible experience out of the box)、WSL2 (Ready to use distribution)です。


ovaファイルの例

オープンCAE勉強会@富山 openfoamのVirtualBox仮想マシン

Elmer Virtual Machines

tar.gzファイルの例

ElmerCSC / elmer-wsl

Salome Meca 2024.1 on WSL


近頃、VirtualBoxが頻繁に更新されています。ARM対応が最大の話題となっていますが、x86_64ユーザーも効果のあるアップデートです。

ブログにアップロード済の2025年7月上旬のデータを用いて説明します。WSL2とVirtualBoxが共存している場合、VirtualBoxでの計算時間がネイティブLinuxの2.9倍かかっていました。 オープンCAEソフトの計算速度の比較

これはVirtualBoxのゲストOSから、avx、avx2機能が見えず、Nehalemにフォールバックしたことが原因でした(OpenBlasをコンパイルすると、コンパイルしたライブラリがNehalemになっていました)。


この問題がクローズアップされたのは、RHEL-10および互換OSのハードウェア案件(x86-64-v3:Haswell以降)を満たさないため、インストーラさえ起動できないことです。

以下のURLに示すように、Ver.7.1.12以降は、avx/avx2がマスクされる問題がfixされたとのことです。

https://github.com/VirtualBox/virtualbox/issues/36

最新版のVirtualBox-Ver.7.2.0により、確認した結果が添付図です。 前回と同様にメッシュを4分割して、4並列のMUMPS解法(BLASの性能がそのまま出る条件)としました。

VirtualBoxでの計算時間がネイティブLinuxの1.3~1.4倍に改善されています。

コア数が同じであれば、WSLはネイティブLinuxの1.1倍程度で計算できます。

Linuxのネイティブと仮想環境での計算速度(直接法MUMPS)2025年08月15日 18:42

補足説明付きの資料はElmerのフォーラムにアップロードしました
有限要素法で使用される解法は、大きく分けて、反復法と直接法があります。

CyberNetに概要が記載されていたので、紹介します。
反復法とは、初期推定値を計算し、収束するまで反復する処理によって解を得る方法のことです。このような方法を用いるソルバーを、反復法ソルバー(iterative solver)と呼びます。...良条件のマトリクスでは、直接法ソルバーよりも計算時間が短くなることが期待できます。一方、悪条件のマトリクス(不安定なモデルや、ビーム/シェル構造など)では直接法ソルバーの利用が適切です。
https://www.cybernet.co.jp/ansys/learning/glossary/hanpukuhou/

直接法とは、連立線形方程式の直接消去法に基づく数値計算手法です。
直接法で解析する場合、反復法に比べてディスクまたはメモリー容量の消費が大きくなります。...直接法では、精度が低下することはありますが悪条件のマトリクスでも解の生成が困難になりません。直接法では方程式に特異性がない場合、常に解が得られます。
https://www.cybernet.co.jp/ansys/learning/glossary/chokusetsuhou/index.html

現在は、RAM、ストレージが大容量化しているので、直接法は中小規模の解析で使用されることが増えています。
英文ですが、2件の参考資料を紹介します。

Elmerの資料:下側にあるフローチャートがわかりやすい
https://github.com/ElmerCSC/elmer-linsys

SimScaleの資料:最後のSummarizing FEM Solversがわかりやすい
https://www.simscale.com/blog/how-to-choose-solvers-for-fem/

Elmerにより丸棒のネジリ問題の解析を直接法のMUMPSにより、各種条件で計算速を比較しました。
VirtualVBox、WSL2の仮想環境であっても、実機の80%~90%の速度がでました。
Linux環境において、nvidiaのカードの機能を使う場合(WSL上のcudaではUbuntuのみ対応)、RAM・CPUを最大限活用する場合には、デュアルブートが魅力的です。

なお、以下のElmerフォーラムに計算速度の表に加えて、計算モデル、計算結果の変位・応力図などを含めて投稿しました。
https://www.elmerfem.org/forum/viewtopic.php?t=8756

Red Hat Enterprise Linux 9互換OSでのElmerコンパイル2025年07月14日 20:20

GNOMEのメニュー
Red Hat Enterprise Linux 9互換のAlmaLinux-9(WSL2)、RockyLinux-9(Windowsとデュアルブートのネイティブ)の環境において、Elmerのコンパイル(ElmerGUI, MUMPS, MMG, Lua)に成功しました。

使用した手順やスクリプトをElmer本家のフォーラムに投稿しました。
https://www.elmerfem.org/forum/viewtopic.php?t=8667

スクリプトだけで操作ができる内容ですので、文章を書かずにコード主体にしました。
英文を書く量が少ないので、英語が苦手な方でも負担が少ないと思います。

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WSL2のデスクトップ画面のない環境で使うことが多かったですが、デュアルブートのGNOME環境で操作するのも新鮮さがあってよかった。

オープンCAEソフトの計算速度の比較2025年07月05日 21:16

3D四面体メッシュ 758208個(一次要素)の条件で熱伝導解析 or 静電場解析を行って、計算時間を比較しました。基本的にメッシュを4分割して、4並列のMUMPS解法(BLASの性能がそのまま出る条件)としました。
FrontISTRが最も速く Linuxの実環境で3.04s、 フォールバックしないVirtualBox、WSL2、Hyper-Vで3.4s前後です。
次は、blasとlapackをintel-mklとしたElmerです。Linuxの実環境で7.0s、フォールバックしないVirtualBox、WSL2で7.5〜7.8s。

比較したソフトは、以下の通りです
FrontISTR https://www.frontistr.com/features/
Elmer https://www.elmerfem.org/blog/
Salome-meca https://code-aster.org/spip.php?article146
PrePoMax https://prepomax.fs.um.si/
Onelab https://onelab.info/

PrePoMaxもPardiso解法の効果により比較的高速です。
OneLabやSalome-mecaは、計算速度の面ではあまり魅力はありません。
しかし、OneLabは、テンプレートなどの雛形があれば設定が最も簡単です。
Salome-mecaは、長い実績のあるソフトなので解析結果の比較用として活用できます。