Ubuntuからもっと自由なディストロへ2025年08月11日 16:14

Ubuntu24.04LTSのApp Centerでは、パートナーのマイクロソフトのアプリの評価が高い
Ubuntuからもっと自由なディストロへ: Debian, Linux Mint, RHEL互換

2005年頃のUbuntuは、バグ#1がマイクロソフトがPCのOSを独占しているというものでした。この頃のUbuntuのフィロソフィーは、自由なOSを作り、公平に提供するというDebianに近いものでした。

Microsoft has a majority market share in the new desktop PC marketplace. This is a bug which Ubuntu and other projects are meant to fix. As the philosophy of the Ubuntu Project states, "Our work is driven by a belief that software should be free and accessible to all."

URL
https://bugs.launchpad.net/ubuntu/+bug/1

しかしながら、現在のUbuntuは以下の状態に変わってしまいました。
(1) Snapのストア(Ubuntuの開発・保守を担うカノニカルが運営)
- 従来のdebパッケージをインストールしようとしても、snap版がインストールされるものがある。
- パートナーのアプリの評価を高くし、Linuxの歴史的なソフトの評価を低くする。
- アンインストールしてもゾンビのように復活するので、完全に消去するためのシェルスクリプトが公開されている。
- RedHat系はライバルのflatpak(パートナー企業に密着するよりは、オープンソースを大事にするイメージ)を推進、Debian・LinuxMintもどちらかというとflatpakを優先しているように感じる。

(2) 個人使用は無償と言っても、有償のサブスクリプションのUbuntu Pro (延長サポートの Expanded Security Maintenance, "ESM"が主)を勧めてくる。
- LTSのメインサポート期間中にESMのメッセージが表示されるのに違和感がある。
- 対象のパッケージは、LinuxMintやDebianで使用されているのと同じ名称。

(3) Ubuntu24.04LTSは完成度が低い
- Ubuntu22.04LTSではparaviewが壊れたなど、アプリが壊れることはあった。しかし、起動不能となる致命的な問題がなかった。
- Ubuntu24.04LTSではKernelパニックとなり、起動不能となることが報告されている。
参考URL
https://ocse2.com/?p=17453

調べた範囲でUbuntuだけが環境がととのっているものとして、WSL2環境のCUDA Toolkitがありました。
メジャーなディストロの通常環境はCUDA Toolkitに対応しているので、ストレージを追加してデュアルブートにすれば、動作環境とすることができます。

これらの内容は、Qiitaに投稿しました。
URL
https://qiita.com/HD_mount_Music/items/7104887041d174f37635

Linuxのネイティブと仮想環境での計算速度(直接法MUMPS)2025年08月15日 18:42

補足説明付きの資料はElmerのフォーラムにアップロードしました
有限要素法で使用される解法は、大きく分けて、反復法と直接法があります。

CyberNetに概要が記載されていたので、紹介します。
反復法とは、初期推定値を計算し、収束するまで反復する処理によって解を得る方法のことです。このような方法を用いるソルバーを、反復法ソルバー(iterative solver)と呼びます。...良条件のマトリクスでは、直接法ソルバーよりも計算時間が短くなることが期待できます。一方、悪条件のマトリクス(不安定なモデルや、ビーム/シェル構造など)では直接法ソルバーの利用が適切です。
https://www.cybernet.co.jp/ansys/learning/glossary/hanpukuhou/

直接法とは、連立線形方程式の直接消去法に基づく数値計算手法です。
直接法で解析する場合、反復法に比べてディスクまたはメモリー容量の消費が大きくなります。...直接法では、精度が低下することはありますが悪条件のマトリクスでも解の生成が困難になりません。直接法では方程式に特異性がない場合、常に解が得られます。
https://www.cybernet.co.jp/ansys/learning/glossary/chokusetsuhou/index.html

現在は、RAM、ストレージが大容量化しているので、直接法は中小規模の解析で使用されることが増えています。
英文ですが、2件の参考資料を紹介します。

Elmerの資料:下側にあるフローチャートがわかりやすい
https://github.com/ElmerCSC/elmer-linsys

SimScaleの資料:最後のSummarizing FEM Solversがわかりやすい
https://www.simscale.com/blog/how-to-choose-solvers-for-fem/

Elmerにより丸棒のネジリ問題の解析を直接法のMUMPSにより、各種条件で計算速を比較しました。
VirtualVBox、WSL2の仮想環境であっても、実機の80%~90%の速度がでました。
Linux環境において、nvidiaのカードの機能を使う場合(WSL上のcudaではUbuntuのみ対応)、RAM・CPUを最大限活用する場合には、デュアルブートが魅力的です。

なお、以下のElmerフォーラムに計算速度の表に加えて、計算モデル、計算結果の変位・応力図などを含めて投稿しました。
https://www.elmerfem.org/forum/viewtopic.php?t=8756

急冷アイスコーヒー(2)2025年08月25日 13:39

背の高いのがコカ・コーラ700ml、他はペプシコーラ600ml
1リットルの冷水筒を使用していましたが、炭酸飲料のペットボトルを使った方がコーヒーの量を調整しやすいことがわかりました。

キャップ部分の直径が小さいので、水洗いしかできません。
しかし、着色するまでに5回以上使用できるので、コーラや炭酸水を飲んでいれば、容器を補充できます。
炭酸飲料のペットボトルは、お茶や水と比べてしっかりしているので使いやすいです。

コーヒーの風味を損なわないようにするには、なるべく空気に触れないように、以下の2点を注意しています。
- 泡立たないようにボトルの壁に沿わせてコーヒーを注ぐ
- コーヒーを満タンに充填し、残された空気の体積を減らす

私の持っているコーヒーサーバーは500mlですが、満タンにすると650ml程度入ります。

1回分を保存するには、ペプシコーラ600ml(空気層を含めると650ml程度)がちょうどよい量です。
https://products.suntory.co.jp/d/4901777361256/

ペプシコーラよりも少し容量が大きい方が良い場合は、コカ・コーラ700mlがあります。
https://www.coca-cola.com/jp/ja/brands/coca-cola/products#accordion-7100a4b462-item-3c5e66db62

サーバー2回分を保存したい場合は、1000mlの炭酸水があります。
Wilkinson
https://www.asahiinryo.co.jp/wilkinson/sp/lineup/

サントリー天然水 SPARKLING 1050mlペット
https://products.suntory.co.jp/d/4901777364585/

VirtualBoxの速度低下(WSL2と共存時)が修正されました2025年08月27日 13:35

2025-Aug-26時点での最新リリース版での評価

従来は、isoファイル(そのまま使えるライブメディア、インストールメディアを兼ねたもの)が教育用メディアとして一般的でした。

最近は、CAEソフトの設定まで済ませたovaファイル(VirtualBox用)WSL2用のtar.gzファイルでの配布が増えています。

作り手、使用者共にメリットのある配布方法です。

売りは、ova (Best possible experience out of the box)、WSL2 (Ready to use distribution)です。


ovaファイルの例

オープンCAE勉強会@富山 openfoamのVirtualBox仮想マシン

Elmer Virtual Machines

tar.gzファイルの例

ElmerCSC / elmer-wsl

Salome Meca 2024.1 on WSL


近頃、VirtualBoxが頻繁に更新されています。ARM対応が最大の話題となっていますが、x86_64ユーザーも効果のあるアップデートです。

ブログにアップロード済の2025年7月上旬のデータを用いて説明します。WSL2とVirtualBoxが共存している場合、VirtualBoxでの計算時間がネイティブLinuxの2.9倍かかっていました。 オープンCAEソフトの計算速度の比較

これはVirtualBoxのゲストOSから、avx、avx2機能が見えず、Nehalemにフォールバックしたことが原因でした(OpenBlasをコンパイルすると、コンパイルしたライブラリがNehalemになっていました)。


この問題がクローズアップされたのは、RHEL-10および互換OSのハードウェア案件(x86-64-v3:Haswell以降)を満たさないため、インストーラさえ起動できないことです。

以下のURLに示すように、Ver.7.1.12以降は、avx/avx2がマスクされる問題がfixされたとのことです。

https://github.com/VirtualBox/virtualbox/issues/36

最新版のVirtualBox-Ver.7.2.0により、確認した結果が添付図です。 前回と同様にメッシュを4分割して、4並列のMUMPS解法(BLASの性能がそのまま出る条件)としました。

VirtualBoxでの計算時間がネイティブLinuxの1.3~1.4倍に改善されています。

コア数が同じであれば、WSLはネイティブLinuxの1.1倍程度で計算できます。